筋腫の多くは無症状で、婦人科の検診時や妊婦検診時に偶然見つかる事が多いですが、一般的に子宮筋腫の症状でもっとも多いのが、月経の変化です。特に量が増えます。月経の量が増えると、貧血をおこします。子宮筋腫が成長、大きくなると膀胱を圧迫する事があり、その時は頻尿になります。直腸を圧迫すると便秘になり、背部で骨盤の神経や血管が圧迫されると腰痛の原因ともなります。
月経血の増える理由としては、次のようなことが考えられます。
子宮筋腫では、月経血の量が増えるとともに、月経時に痛みを感じる事が多いとされています。しかし、子宮筋腫だけの場合には、この症状は典型的ではありません。子宮筋腫と紛らわしい病気に子宮腺筋症や子宮内膜症がありますが、こうした病気は筋腫と一緒になっていることが多く、この場合には月経時の痛みが強くなります。
正常な月経であれば一度子宮の中で固まった血液はもう一度溶かされて出てきます。しかし月経の量が増えると、子宮の中で固まった血液を十分に溶かす余裕がないため、月経血の中にかたまりが混じって出てくるようになります。このレバーのような血のかたまりがみられたら、月経血の量が増えてきたと考えても良いと思います。月経血の量が増えたかどうかは、パッドをかえる回数の増加や、就寝時に下着を通してシーツが汚れるなどでも判断できます。
また、立ちくらみやめまいなどの貧血症状は、出血が続いていることで、鉄欠乏性貧血が起こったためと考えられます。出血の原因を確かめなければなりませんが、ほとんどいつもダラダラと出血しているような場合、原因をことに詳しく検査する必要があります。癌が原因になっていないかどうか、まず外来での癌の検診、超音波検査などを受けて見る事をお勧めします。
月経の増加は、筋腫がかなり大きくなったときにみられやすいです。しかし、かなり大きな腫瘍でも、漿膜下筋腫の場合には月経血がかならずしも増えないことがあります。これとは逆に、サイズは小さくても粘膜に近い場所や粘膜下にある筋腫は、月経をおこす内膜に直接影響を与えるので、月経の量がたいへん増えます。これがさらに筋腫分娩の状態になると、水道の蛇口をひねったときのように、ジャーっと音がするような出血をみることがあります。
内診では、膣の中に人差し指と中指を挿入し、子宮の入り口である子宮膣部に指を届かせます。この間に、膣の中になにか異常があるかどうかも確認します。子宮膣部に指が届いたら、もう一方の手をおなかの上におき、膣の中に挿入した指とおなかの上においた手の指先を用いて子宮のカタチを確認します。子宮の入り口は膣に挿入した指で確認できているので、子宮の入り口と一体になって動くものを、お腹の上においた手との間で確認するわけです。
膣の中に挿入した指を前方の膀胱側に移動させれば、膀胱と子宮との関係や異常の有無が確認できます。また指を直腸の方に移動させれば、子宮の後方の様子や直腸との関係が分かります。
更に指を子宮膣部の左右に移動させ、同時におなかの上の手も左右に移動させると、子宮の左右の状態がわかります。このとき、子宮の左右にある卵巣が腫れているかどうかなど、卵巣の状態も確認します。
内診では子宮の大きさ、硬さ、でこぼこの有無などがわかります。また、子宮や卵巣の状態のみならず、子宮の周囲の癒着や炎症の有無、痛みを発生させている部分なども、患者さんの訴えとともに確認できます。こうした情報を与えてくれる内診は大変重要な診察です。
筋腫はこの内診で、大きくなった子宮に弾性のある硬いしこりとして触れます。しこりと子宮の位置関係、しこりや子宮の硬さ、子宮の表面の凹凸の有無などから、卵巣腫瘍、子宮腺筋症などの、ほかの紛らわしい病気との判別を行います。更に骨盤腔における子宮のいち、大きさ、癒着の有無、卵巣、卵管、直腸、膀胱を含めた周囲の臓器との関係などの情報が得られます。
腸診は、婦人科の場合、中指を直腸の中に、人差し指を膣の中に挿入して行います。これで、中指と人差し指のあいだに直腸と膣をはさんだかたちになります。人差し指は膣の後ろ側におき、中指は直腸の中の前側を見るかたちになるので、二本の指に挟まれた部位の異常の有無が確認できます。直腸側は、中指が届く範囲までが診察できます。このとき、もう一方の手はおなかにおいて、子宮や卵巣のある部分を両手で挟むようにして診察するので、卵巣子宮の左右や子宮の後ろ側の様子がはっきりと分かります。
子宮腺筋症は子宮筋腫との鑑別が必要ですが、その判別が難しい病気の一つです。子宮腺筋症は、子宮内膜が子宮筋層内に直接入り込んだような状態の病気で、子宮内膜が子宮筋層に入った部位に筋腫のようなしこりができます。このしこりが、子宮筋腫にきわめてよく似た診察所見を示します。筋層内に入った子宮内膜も月経のような出血をおこすため、強い月経痛が特徴的で、また過多月経もあります。
子宮筋腫は筋腫だけをくりぬいて取り出すことができますが、子宮腺筋症では、筋腫のように周囲の正常な筋層との境界が明らかではないので、その部分だけくりぬいて取り出すといった治療は難しいものとなります。したがって、子宮筋腫と診断し、筋腫だけを子宮からくりぬいて子宮を残そうとする手術(子宮筋腫核手術)を計画する場合には、そのしこりが筋腺症によるしこりではないことを確認しておくことが大切です。
水のような帯下が大量にみられる時は、子宮内膜の表面にただれをともなった粘膜下筋腫がある場合も考えられますが、この症状は卵管ガンや子宮頸部腺ガンの特殊な形のものにむしろ特徴的な所見です。
粘膜下筋腫の場合、小さくても、その表面にただれがあればこのような症状になります。しかし、このような症状をしめす時は、ほかの病気も考えて、できるだけ早く受診されることをお勧めします。
卵管ガンは卵管にできる稀なガンですが、卵管にこのガンができると、狭い卵管がガンによって塞がれた状態になりやすくなります。すると卵管の中に液体がたまりはじめますが、ある程度たまってくると、液体は塞がれた卵管の一部を突然押しのけて、子宮腔内を通って膣へ排泄されます。これが大量の水のような帯下というわけです。この場合、分泌物はだらだらと続く事はなく、しばらく時間をおいて、また大量の帯下が排泄されるという状態を繰りかえします。
子宮頸部にできるガンには扁平上皮ガンと腺ガンがあります。 一般に子宮ガンといっている大部分は、子宮頸部にできる扁平上皮ガンのことです。子宮頸部の扁平上皮ガンは放射線治療にもよく反応するガンで、治療法もいろいろあります。
子宮頸部のガンで子宮頸管腺からできるガン、つまり腺ガンのなかである特殊な細胞でできているものは、増殖したガン細胞が水っぽい粘液を活発につくりだすので少し粘っこく、そして水のような帯下が多くなります。
この場合は、いつも水っぽい帯下が続く事になります。子宮頸管腺は粘液を分泌する組織です。正常であればこの粘液は排卵の時期にもっとも多くなり、月経の周期にともなって量が増減します。
正常な帯下(おりもの)とくらべ子宮筋腫の場合には、月経周期にあまり関係なく帯下(おりもの)が見られます。潰瘍や感染、出血をともなった粘膜下筋腫の場合、さらさらした帯下(おりもの)に血液が混じっていたり、黄色調を帯びていたりすることがあります。
そのほかに、膣の感染症でも特徴のある帯下がみられることがあります。たとえばカンジダというカビに感染すると、白色から緑色をおびたヨーグルトのような、どろっとした感じで、かたまりのある帯下があり、膣にかゆみがあります。また性行為によって感染するトリコモナス症の場合は、黄色の泡の混じったような帯下(おりもの)があります。そのほか菌が感染している場合には、普通、黄色の帯下(おりもの)です。
【PR】クレジットカード